法定相続情報一覧図を取得したときの模様は「千葉地方法務局から放置プレイ 法定相続情報一覧図が届かないので問い合わせてみたら……」でお伝えしたが、取った目的のひとつに不動産の相続登記をするというものがある。
父が他界してマンションの相続を行わなくてはいけない。そこぼくが体験した不動産の相続登記をするのに必要なものと、その書き方について記録をしておきたい。
必要な書類
まず、必要な書類は手に入れづらい順に以下の通りとなっている。この順番で準備を進めていけばいいんじゃないかなと思う。
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 法定相続情報一覧図
- 固定資産評価額証明書
- 登記申請書
相続人全員の分が必要な書類がある。ほかの相続人に手間をかけさせたくなかったら、葬儀で集まったときに、とりあえず戸籍謄本1部、住民票1部、印鑑証明書を相続の資産の数分だけの枚数を要望しておこう。印鑑証明書は不動産相続登記以外にも必要になるからだ。
では、書類についてひとつずつ見ていこうと思う。
相続人全員の印鑑証明
まず、いまさらだけど用語の定義をしていく。亡くなって持っている財産を相続しなくてはいけない人、つまり故人のことを被相続人、遺族で財産を相続する権利を持っている人のことを相続人という。相続人の範囲と順位は「No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁」あたりを参照のこと。
印鑑証明書は相続人が全員用意する必要がある。また、いろいろな書類の作成や手続きの前提条件的な位置付けの書類であるから重要でもある。取得するために必要な行動は次の通りだ。
- 実印を買う。
- 印鑑登録をする。
- 印鑑証明書を発行してもらう。
実印は本人の意思を証明する法的な力を持った印鑑で、役所に登録しておく必要がある。実印を使うときは、役所に登録済みであることを証明する印鑑証明書がセットになることがほとんどだ。
重要な印鑑であることと長く使うことから、しっかしとしたものを用意するのが一般的だ。通常、簡易的な印鑑は苗字だけのことが多いが、実印は名前のほうまで彫ることが多い。本人を証明する印鑑で、家族で使うものではなく本人だけが使うものであるから、苗字だけの意味はない。宅配便の受け取り印ではないので、苗字と名前まで彫って作ることになる。
ぼくは手っ取り早くハンコヤドットコムで注文した。長く使う重要な印鑑であるから、丈夫そうなチタン製のものにした。ここはケチるところではないかなと思った次第だ。
次に実印を持って役所に行く。実印を登録するためだ。これは法的効力がある実印として使いますよと登録しておくのだ。つまり、実印を持っていない人、持っていてもまだ印鑑登録していない人は、必ず一度は役所に行かなくてはいけない。それから印鑑証明書がもらえる。登録と同時にもらうこともできるし、マイナンバーカードがあればコンビニで印刷できる。
印鑑証明書は相続人全員のものが必要だし、人によって早めにとってくれたり、のんびりしていてなかなか動いてくれなかったりするので、一番取りづらい。また、マイナンバーカードを作っていなければ平日に役所に行かなくてはいけない。
マイナンバーカードがあれば、コンビニで印刷できるけど、実印を買って登録するためには一度は役所に行かなくてはいけない。実印を作る費用、印鑑登録する手間もあり、取りづらい書類の代表格といえる。
印鑑証明書を相続人に準備してもらうときに伝えておいたほうがいいのは、用意する枚数だ。印鑑証明書は不動産の相続登記だけでなく、自動車の名義変更や銀行、証券会社での相続手続きに必要になってくるので、必要な枚数をあらかじめ数えて必要なだけ用意しておいたほうがいい。
ただし、相続が揉めて金融機関への手続きまでに時間がかかりそうなら、あとのほうがいい。なぜならば、銀行などは印鑑証明書の有効期限を6ヶ月と定めていることが多い、というかほぼそのように設定されているからだ。不動産相続登記では期限は関係ないけど、なぜか民間である銀行はそう定めている。その場合はとりあえず不動産相続登記分だけ取っておいてもらって、残りは相続の方がついたときに取ってもらうのがいいだろう。
遺産分割協議書
家族がおらず、相続人が自分だけと場合はここはスルーしてもらいたい。
遺産分割協議書は取りづらさとして2番目にしているけど、遺産に関して揉めていなければ後回しでかまわない。揉めそうで早めに話し合いが必要なら早めに準備をしておくことに越したことはない。
うちの場合は「いろいろあった3月が過ぎた」でも書いた通り、手続き関係をめんどくさがる弟には、「税金がかかるものをこちらに押し付けて現金だけというのはなし」と伝えているので、不動産はぼくが引き継ぐけど、動産である自動車は弟に持っていってもらうことが決まっていたので、登記申請書の前に用意した。
相続人のだけがどの遺産を相続するかを話し合った結果を示すための書類となる。相続財産全部を記載してもいいし、財産ごとに作ってもいい。この書類に相続人全員の実印を押して、さらには全員の印鑑証明書を添付する必要がある。相続人全員の意思があるという実印と、実印が正当なものであるという役所の証明書だ。
書き方は法務局のウェブサイトに登記申請書と一緒になって記載例がくっついている。
うちは銀行などの手続きは不動産登記のあとに順番にやろうと決めているので、不動産の記載のみにした。もちろん、その場合はあとで金融機関ごとに遺産分割協議書を作らなくてはいけない。揉めていたり、他の相続人が協力的でない場合は、すべての財産を一括で記載したものを作っておいたほうがいいかもしれない。
法定相続情報一覧図
以前は相続人の関係を示すために、被相続人の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本、除籍謄本を改製原戸籍も含めてすべてと住民票除票、相続人全員の戸籍謄本が必要だった。しかも、それを本籍がある自治体でとらなければならないので、ひとつずつ遡って申請を繰り返さなければならなかった。
しかし、それらの書類を法定相続情報一覧図の1枚でよくなったこと、また2024年3月1日に戸籍法が改正されて広域交付できるようになり、自分が住んでいる自治体の役所ですべてを一括で集めることができるようになったことで、手続きが随分と楽になった。
相続手続きごとに集まる必要はなくなったといえど、法定相続情報一覧図を作るために一度は集めなければならない。必要な書類は次の通りだ。
- 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本
- 被相続人の住民票除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 申出人の身分証明書
- レターパック(大事!)
被相続人に対しては生まれてから死ぬまで戸籍謄本、除籍謄本を集める。これは広域交付で一括で申請すればいい。申し込みのときの目的に法定相続情報一覧図の作成と書いて、提出先は法務局としておけば役所の人がいい感じで集めてくれる。受付で申し込み用紙を何を書けばいいか聞いて記入して出せばOK。
同じタイミングで住民票除票を申し込んでおく。なお、被相続人の書類は死亡届の提出後、1週間ぐらいして役所が手続きを完了させてから出なければ取れない。
相続人の戸籍謄本は、ほかと被る場合は1部だけでいい。例えば被相続人と同じ戸籍の場合はあえて取る必要はない。被相続人と違う場合でも、複数の人の戸籍が被る場合は、被った人の分は1部だけでいい。ちなみに、被相続人が親で一度も結婚していない場合は被相続人と同じ戸籍のはずだ。
相続人の住民票は法定相続情報一覧図に住所を書く場合に必要で、住所の記載は任意だけど、集めておいて住所の記載をしておくのがおすすめである。そうでなければ、住民票の提出を別途求められる場合もあるからだ。このタイミングで一度、相続人全員の住民票を集めておけば、住所記載で、あとで住民票などの書類を別途集める必要はなくなる。
あとは申し込む人が運転免許証かマイナンバーカードのコピーを取って、空いている部分に「原本と相違ない」と記載して署名をしておく。代わりに住民票でも大丈夫だ。
ここまでの書類を作ったら、法務局のウェブサイトにさまざまな相続関係に応じた様式が用意されているので、合う様式をダウンロードして記載する。
Excel形式だけど、Numbersでも編集は可能だ。ただ、Numbersの場合はグリッド線を手動で消してからでないと、プリント時にグリッド線も印刷されるので若干面倒だ。
法定相続情報一覧図の様式に沿って記載したものをプリントアウトして総務局に持っていけばいい。
レターパックは用意しよう。もちろん、平日に時間があって法務局に完成した法定相続情報一覧図を取りに行く余裕があるなら必要がないが、ほとんどの人は平日は用事があると思うので、申し込み時に郵送を希望して、送ってもらうのがいい。
なお、千葉法務局木更津支局の場合は忘れられて放置される場合がある(「千葉地方法務局から放置プレイ 法定相続情報一覧図が届かないので問い合わせてみたら……」を参照)。1週間ぐらいで書類はできるみたいなので、1週間で届かない場合は催促の連絡を入れたほうがいいだろう。法務局は役所仕事なので。
固定資産評価額証明書
固定資産評価額証明書は超簡単で、被相続人が親で世帯主の子が申請する場合(ぼくの場合)は、身分証明書だけ持っていけば大丈夫だった。そのときのようすは「相続なら固定資産評価額証明書は身分証明書だけ持っていけばOK」に記載してある。
基本的に評価証明書の場合はそんなに多くは求められない雰囲気だった(知らんけど)。
登記申請書
登記申請書は自分で作る必要があるけど、手書きでも問題はない。まあ、パソコンやiPadで作ってプリントアウトしたほうが便利ではある。ぼくの場合はNumbersを使って作った。法務局のウェブサイトに様式あるので、そちらをダウンロードした活用するといいだろう。
作り方としては様式に従って作る。複数枚になる紙の左端を2箇所ホッチキスでとめて、見開きの間に契印を押す。ちなみに必ず複数枚になるはずである。それは、最後に白紙を含める必要があるからだ。この白紙に収入印紙を貼る必要がある。
収入印紙は高額なので、コンビニではなく郵便局で買うことになるだろう。200円とかじゃなくて万単位の印紙になるので、たぶんコンビニには置いていないんじゃないかな。
登録免許税に計算方法のところで法務局のウェブサイトの資料に100円未満切り捨てって書いてあったから切り捨てたら、法務局から収入印紙が100円足りないと電話がかかってきたので、ぼくがどこかで計算を間違えたか、法務局のウェブサイトの情報がガセかのどちらかだろう。持ってくるか郵送で送ってくれということだったので、余っていたレターパックで送った。
なお、登記申請書に推す印鑑は認印でも大丈夫。
書類を返してもらうために
せっかく集めた相続人全員の印鑑証明書や固定資産評価額証明書、せっかく作った遺産分割協議書や法定相続情報一覧図は返してもらうことができる。他でも使い回す場合を考えて返却してもらったほうがいいだろう。また作るのが大変だからだ。
そのためには、これらの書類のコピーを取ってホッチキスで止めて、ページの間に契印を押す。最初のページの空いているところに「原本と相違ない」と書いて、署名と捺印(認印でOK)しておく。このコピーたちを原本と一緒に提出すると、原本は返ってくる仕組みとなっている。
提出書類のまとめ
最終的には必要な書類としては以下のようになっているだ。
- 登記申請書
- 登記申請書以外の書類の原本
- 登記申請書以外の書類の原本のコピー
登記申請書以外の書類の原本はクリップでとめておく。登記申請書と原本のコピーはホッチキスでとめてページ跨ぎのところに契印を押しているはずなのでそのままでいい。
ここまで揃えたら、あとは法務局に持っていくだけ。法務局に行くときは、何かあったときのために一応、契印で使った認印を持っていこう。ぼくの場合、原本コピーで両面のコピーを取らなくてはいけなかったもので片面しか取っていなくて、その場でコピーの取り直し、差し替えになったので、そのときに契印の押し直しで使った。
コンビニで出した印鑑証明書は裏面に不正防止の印刷もされていて、それは表面だけではダメだったのでコピーし直しになった。
おわりに
いろいろあって大変そうに見える相続登記だけど、ひとつひとつ紐解いていけば個々の作業はそれほど難しいわけではない。戸籍謄本や印鑑証明書、固定資産評価額証明書などの公的資料は役所に行けば取れるし、自分で作成する文書も法務局のウェブサイトに雛形があるので、基本的には穴埋め方式で完成する。
もちろん、それらを踏まえて面倒だからもろもろ司法書士にお願いするというのはアリだと思う。ただ、司法書士にお願いすると何十万円かはかかるので、ぼくはその費用を節約したいなと思った次第だ。





