秋というと山の幸という印象が強い。この季節になるときのこがらみの料理が多くなるし、収穫の秋といい言葉もあることから、秋といえば野菜、特にきのこという感じになるのだろう。
実はそれなりの歳になるまできのこは食べてこなかった。子供の頃、椎茸が嫌いで、その影響を引きずっていた。「椎茸=きのこ=まずい」という図式が頭の中にできあがってしまい、気がついたら避けていた。
大人になるといろいろな味わいが楽しめるようになってくるもので、椎茸も天ぷらを口にしたときにおいしいと感じてから食べるようになってきた。きのこもいろいろ食べてみると、それぞれ違った味わいがあり、子供の頃の思い込みである「椎茸=きのこ=まずい」という図式が見事に破壊された。舞茸だったら子供の頃でも食べられたかもなとか思いながら口に広がる旨味を感じる。でも、大人だからそう思うのであって、たぶん、子供の頃の舌で舞茸を味わうとまずいと感じるんだろう。
食べられるようになるといろいろなものを味わいたくなってしまうもので、そういえば松茸なんて食べたことなかったなと思い、一度は味わってみよう、秋だしということで食べてみることにした。

「天もり(冷) 天ぷらそば(温)」の欄を見ていくと「松茸と秋野菜」というのが出てきた。お値段は税別で3,000円。ランチとしては贅沢だけど、清水の舞台から飛び降りる気持ちで注文した。今回は気持ちだけで済んだ。デジタル一眼レフフルサイズを買ったときは10回ぐらい飛び込んでゾンビ状態だったから、今回は死なないで済んだ。大丈夫。
そばと天ぷら。松茸はうしろの茄子と同じぐらいの大きさのものが4本。というか、4分割されて揚げたもの。そばは二八そば。
松茸を味わい、そばをすする。松茸以外の秋野菜として茄子と蓮根がついてきた。茄子もうまい。さくっとした蓮根の歯触りを楽しむ。
ちょっと贅沢な平日のランチを堪能した。