これまでiCloudのキーチェーンでしかできなかったパスワードの自動入力が、サードパーティ製のアプリでもできるようになりました。iOS 12からPassword Manager APIが追加されたためです。
1Passwordがなぜ必要?
1Passwordは、ひとつのマスターパスワードを使ってすべてのアカウントのパスワードを管理するというコンセプトのアプリです。
ショッピングをはじめ、銀行の取引、SNS、動画サイトにいたるまで、ウェブサービスが当たり前になったいま、パスワードを管理することは必須となっています。ただ、パスワードを管理するというのは意外に大変です。
同じパスワードでいろいろなウェブサービスを利用するのは危険な行為です。ひとつのパスワードが漏れてしまったら、他のウェブサービスも使い放題になります。でも、それぞれ異なるパスワードを設定すると、とても覚えられません。
そのため、1Passwordのようなパスワード管理ツールを使って、ひとつのマスターパスワードで別々に設定した各ウェブサイトのパスワードを管理することは有効な手段なのです。
1Passwordが便利になった
1PasswordがiOS 12でパスワードの自動入力に対応しました。パスワードの自動入力というのは、ウェブサイトのログインページを表示したときに、文字通りパスワードを自動で入力する機能です。
iOS 12以前のバージョンでは、Appleが提供するiCloudキーチェーンしか自動入力には対応していませんでした。AppleがiOS 12で、パスワードの自動入力の機能をアプリ開発者に公開したので、iCloudキーチェーン以外のアプリでも、パスワードの自動入力に対応できるようになりました。
1Passwordでできること
1Passwordは、iCloudキーチェーンというパスワード管理ツールを自社で提供しているAppleも、従業員向けに導入するほど高いセキュリティで保護されているパスワード管理ツールです1。
パスワードをただ集めて保存しておくだけではありません。
さまざまな機密情報を登録できる
1Passwordにはウェブサイトにログインするときのユーザー名とパスワードを登録しておくことができます。でも、それだけではありません。個人情報、銀行口座、クレジットカード、運転免許証、無線ルーターの情報、メールアカウントなど、個人が所有していて秘密にしておきたいあらゆる情報を登録できます。
それぞれテンプレートが用意されていて、銀行口座なら口座名義、口座番号、銀行支店コードなどの項目が用意されています。また、セキュアノートを使えば、ほぼなんでも情報を登録できます。
パスワードを生成できる
パスワードっていざ考えると面倒です。そのパスワードを生成する「パスワード ジェネレーター」があります。「パスワード ジェネレーター」は文字数や数字の字数、記号の字数など、細かく設定できるので、例えば記号は使えないウェブサービスでも強固でランダムなパスワードを生成できます。
ハイフンやピリオド、アンダースコアなどの記号で区切った形式のパスワードも生成できるので、どんなウェブサービスのパスワードも、自分で考えた誰でも思いつくようなものではない強いパスワードを作ることができます。
iPhone、Android、Mac、Windowsで使える
世の中に広まっている一般的な環境で動作します。だから、パソコンはMacだけどスマホはAndroidな人も、パソコンはWindowsだけどスマホはiPhoneな人も、それぞれの環境で使えるのです。スマホだけでなく、タブレットももちろん。
価格
アカウントを作るとき、必ず30日間の無料体験があります。そのときに支払いの情報を入力します。ぼくはiPhoneアプリで操作したので、App Storeのサブスクリプション機能で支払いを管理することになりました。
App Storeでの料金は以下の通りでした。
種類 | 金額 |
---|---|
個人月額 | ¥400 |
個人年間 | ¥4,100 |
家族月額 | ¥700 |
家族年間 | ¥6,900 |
家族での契約の場合は最大5人までアカウントを持てます。家族という名前ですが、公式サイトによると、
ファミリーアカウントという名称ですが、同じ家族の人間である必要はありません。
とのことです。
30日間にキャンセルしなければ、30日後に課金が始まります。
最後に
パスワードは記憶しないという視点が必要です。パスワードを記憶しようとすると、ついわかりやすく、思い出しやすいものを設定してしまいがちです。覚えるならひとつだけ。それを記憶しておいて、あとは全部そこに記録されているパスワードを参照する。
そうすれば、各ウェブサービスで別々かつ難しいパスワードを設定することができ、アカウントを安全に保つことができます。
なお、マスターパスワードを忘れるとかなり大変なことになり、通常は戻せないので注意が必要です2。